イエロードッグルートは和名をナガバギシギシという、タデ科植物です。古代ギリシャ時代より浄化や消化促進のハーブとして親しまれ、現在もヨーロッパでは食材やハーブとして用いられています。
- イエロードッグルートの効果を知りたい
- 摂ってはいけない人がいるの?
- イエロードッグルートはどんな味がするの?
今回はイエロードッグルートの効果・副作用・摂り方などについて、ハーブを使った最強ファスティングを定期的に実践しているハーブマニアがまとめました。ほかにも、美味しいハーブティーブレンドもご紹介します。
イエロードッグルートの基本情報
名称 | イエロードッグルート |
英名 | Yellow dock root |
学名 | Rumex crispus |
和名 | 長葉羊蹄(ナガバギシギシ) |
分類 | タデ科ギシギシ属 |
原産地 | ヨーロッパ、西アジア |
主要成分 | シュウ酸カルシウム、タンニン、アントラキノン配糖体、鉄、苦味質、クリサロビン、ルミシン |
使用部位 | 根 |
代表的効能 | 緩下、胆汁分泌促進、抗菌、浄化、強壮、利尿、抗炎症 |
禁忌、注意事項 | ・メディカルハーブ安全性ハンドブック:安全性クラス1(適切に使用する場合、安全に摂取することができるハーブ) ・シュウ酸を含むため、腎臓結石の既往歴がある人は摂取を控える ・タデ科植物にアレルギーを持つ人は注意する |
利用法 | ・ハーブティーとして飲む ・ハーブチンキを飲用や外用に使う |
イエロードッグルートは、ヨーロッパ原産のタデ科ギシギシ属の多年草です。日本には明治時代に入ってきたといわれ、現在は帰化しています。ハーブとしての使用部位は根で、主な作用は緩下作用・胆汁分泌促進作用・抗菌作用です。
イエロードッグルートの一般的な利用方法には、ハーブティーやハーブチンキがあります。一般的な摂り方であれば問題ありませんが、腎臓結石の既往歴がある人やタデ科植物にアレルギーを持つ人は摂取に注意しましょう。
イエロードッグルートの効果・効能・作用を解説
イエロードッグルートの主な効果は次の3つです。
- 緩下作用
- 胆汁分泌促進作用
- 抗菌作用
それぞれの作用に、どの成分が関係しているのかもわかりやすく解説します。
効果①:緩下作用
緩下作用にかかわる成分は、アントラキノン配糖体です。アントラキノン配糖体には、大腸を刺激してぜん動運動を促す働きがあるため、お通じが良くなることが期待されています。
効果②:胆汁分泌促進作用
胆汁分泌促進作用がある成分は、苦味質です。胆汁には脂質の消化吸収を促す働きがあるため、胃もたれや消化不良の症状改善が見込まれています。苦味質にはほかにも肝機能を高める働きがあり、体内の老廃物の分解に役立ちます。
効果③:抗菌作用
抗菌作用に役立つ成分はタンニンです。タンニンは、細菌に付着して性状を変化させることで菌の活動を抑えます。細菌がかかわるにきび・ただれなどの皮膚炎を和らげる可能性があります。
その他の効果・作用
イエロードッグルートはほかにも、浄化作用や利尿作用によるむくみの改善、強壮作用による疲労回復、抗炎症作用による関節炎・膀胱炎の改善が期待されています。
イエロードッグルートの副作用や注意事項、禁忌など
イエロードッグルートは、メディカルハーブ安全性ガイドブック第2版(米国ハーブ製品協会発行)において安全性クラス1です。一般的な摂り方では安全とされています。
ただしイエロードッグルートには、シュウ酸が含まれているため、腎臓結石の既往歴がある人は摂るのを控えましょう。また、ソバやルバーブなどタデ科植物にアレルギーのある人は注意してください。
イエロードッグルートのハーブとしての使い方
イエロードッグルートは根を乾燥させたものをハーブとして使います。一般的な使い方はハーブティーとハーブチンキです。それぞれ詳しくご紹介します。
ハーブティー
イエロードッグルートを簡単に摂りたいなら、ハーブティーが一番です。風味はほのかな土の香りがあり、苦味と少し酸味があります。
イエロードッグルートのような根を使ったハーブのハーブティーの淹れ方をご紹介します。
- ティーポットにハーブ小さじ1~2を入れる
- 熱湯を200mL注ぎ、5分ほど蒸らせば完成
苦味や酸味が苦手であれば、ハチミツを加えると飲みやすくなります。
ハーブチンキ
ハーブチンキとは、ハーブを度数の高いアルコールに漬けて成分を抽出させたものです。イエロードッグルートでハーブチンキを作ると、飲用から外用まで幅広く活用できます。
【用意するもの】
- イエロードッグルート(乾燥したもの) 10g
- ウォッカまたはホワイトリカー 100mL
- 漬けこみ用と保存用のガラス瓶 各1個
- 茶こし
【作り方】
- ハーブチンキを漬けこむ瓶と保存する瓶を煮沸消毒して、しっかり乾かします。
- イエロードッグルート10gを漬けこみ用の瓶に入れて、ウォッカまたはホワイトリカーを注ぎます。
- 2のガラス瓶に蓋をして、冷暗所で2週間保管します。ハーブ全体がよくなじむように、毎日1日1回は瓶を軽く振るようにしましょう。空気に触れると雑菌が繁殖しやすくなるため、漬けこんでいる間は蓋を開けないようにしてください。
- 2週間経過したら、茶こしを使って中身をこします。
- 4でこしたハーブチンキを保存用の瓶に入れます。保存期間は作成してから1年間です。
イエロードッグルートのハーブチンキの使い方は次の通りです。
- 白湯やほかのハーブティーに数滴入れて飲む
- オイルやクリームに数滴加えたものを、肌荒れやかゆみのあるところに塗布する
イエロードッグルートのよくある質問
消化促進したいときはペパーミント、お通じの改善にはバードック、デトックスしたいときはダンデリオンとブレンドするのがおすすめです。初めは1対1の割合でブレンドし、お好みで割合を変えて楽しむのもよいでしょう。
イエロードッグルートの葉は食用できます。ただし、アク成分のシュウ酸が多く含まれるため、一度茹でこぼして処理をしてから利用しましょう。
イエロードッグルートは生命力が強いため、国内あちこちの山野や路地に生えています。またイエロードッグルートは、同じギシギシ属の植物と交雑しやすいことでも知られています。
近年では、イエロードッグルートと日本固有のギシギシとの交雑種が増えているため、自己判断で採取するのは控えましょう。
まとめと研究情報
イエロードッグルートはヨーロッパ原産の多年草で、ハーブティーやハーブチンキに使われています。主な作用は、緩下作用・胆汁分泌作用・抗菌作用です。一般的な摂り方であれば安全ですが、腎臓結石の既往歴がある人・タデ科植物のアレルギーを持っている人は注意しましょう。
おさらい
【効果】
- 緩下作用
- 胆汁分泌促進作用
- 抗菌作用
- 浄化作用
- 利尿作用
- 強壮作用
- 抗炎症作用
【注意点・副作用・禁忌】
- 腎臓結石の既往歴がある人は使用を控える
- タデ科植物にアレルギーを持つ人は注意する
【摂り方】
- ハーブティー
- ハーブチンキ
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
ラットの外科的誘発腹腔内癒着モデルに対するRumex crispus L.の予防効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33779947/
この研究では、トルコの伝統医学で使用されているRumex crispus(ラバダ)の抽出物が腹部癒着と子宮線維症の治療に潜在的な効果があることを調査しました。ラットを用いた実験で、R. crispusの根抽出物が特に有望で、抗炎症活性を示しました。根抽出物をさらに分画し、特にR60分画が腹部癒着と子宮線維症の予防に効果的であることが示されました。これらの結果は、R. crispusが婦人科疾患に対する潜在的な治療薬としての価値を示唆しています。
In Vitroでの抗酸化、抗炎症、抗がん活性、およびRumex crispus根エキスおよび画分からのアントラキノン含有量
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32784977/
この研究では、韓国の伝統医学において使用されるRumex crispusの根から異なる溶媒画分を調べ、強力な抗酸化活性を示すポリフェノールやフラボノイド化合物を同定しました。また、抗炎症および抗がん活性も確認されました。酢酸エチル画分は抗炎症特性を示し、炎症性物質のレベルを低下させました。ジクロロメタン画分はアントラキノン化合物を豊富に含み、ヒト肝癌細胞で強力な抗がん活性を示しました。この研究は、R. crispusの抽出物が抗酸化、抗炎症、および抗がん特性を有し、潜在的な医療用途があることを示唆しています。
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