レディースマントルはバラ科に分類されるハーブです。ヨーロッパなどでは古くから女性のためのハーブとしても親しまれてきました。「女たちの最良の友(a womans’s best friend)」とも呼ばれるほど婦人科系の諸症状に役立ってきました。
女性の病気に効き目があるとされ、月経不順を治し更年期の症状を和らげる女性のハーブと言われます。葉を乾燥させて、ハーブティーや浸出液を美容液代わりに用いると肌を引き締める効果があるとされています。
今回の記事では
- レディースマントルの効果について
- レディースマントルの副作用について
- レディースマントルのハーブとしての使い方について
この3点を中心にお役に立つ情報をまとめていますので、最後までお読みいただきたいと思います。
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レディースマントルの基本情報
名称 | レディースマントル |
英名 | Lady’s mantle |
学名 | Alchemila vulgaris |
和名 | 西洋羽衣草(セイヨウハゴロモソウ) |
分類 | バラ科・ハゴロモグサ属 |
原産地 | ヨーロッパ |
主要成分 (100g当たり) | 精油(スラレオール、トランスアネトールなど)、サリチル酸、タンニン、苦味質 |
使用部位 | 地上部(花、葉、茎) |
代表的効能 |
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利用法 |
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昔、レディースマントルの葉の上の滴には魔法が宿っていると信じられていて、集めて飲まれたりその露が秘薬の原料とされたりしました。その名のとおり、女性の病気に効き目があるとされ、月経不順を治し更年期の症状を和らげる女性のハーブとも言われます。
根生葉(こんせいよう)は長い葉柄があり、葉身は直径8〜15cmで掌状に浅裂、花は小さく黄緑色で散房花序に多数付きます。
学名がアルケミラ・モリスという近緑種に注意します。レディースマントルに似ていますが、日本で多く流通しているアルケミラ・モリスは園芸用で、薬効はありませんので、ハーブティーなどには利用できません。
アルケミラモリス(Alchemilla mollis)には薬効がないと言われていますので、ハーブティーを購入する際は学名を確認するようにした方が良いでしょう。
レディースマントルの効果・効能・作用を解説
効果①:婦人科系のトラブルに
レディースマントルはフェンネルなどに含まれるトランスアネトール、クラリセージなどに含まれるスクラレオールなどの芳香成分(精油成分)を含んでいます。
トランスアネトールやスクラレオールはフィトエストロゲン(植物性ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンエストロゲンによく似た分子構造を持つ成分で、生理痛・生理不順など女性ホルモンのバランスを整える働きが期待されています。
ホルモンバランスの働きを整えるため、レディースマントルは生理不順や無月経・少量月経・不正出血などの月経のトラブル改善に有効と考えられています。生理痛が重い場合は鎮痛作用のあるメドウスイートや、保温・鎮痛に役立つカモミールなどとのブレンドもオススメです。
効果②:更年期・月経前症候群(PMS)に
更年期・月経前症候群(PMS)に、アネトールやスクラレオールなどの植物性エストロゲンはエストロゲンと競争してエストロゲン受容体へ入り込もうとする性質があります。
エストロゲン分泌が減少している場合にはエストロゲンの代役として働くことで不足分を補う形で作用しますし、エストロゲン分泌過多の場合にはエストロゲン受容体のいくつかを埋めることで全体的なエストロゲンの働きを弱める効果もあると考えられています。
閉経前後にエストロゲンの急激な減少から引き起こされると言われる更年期障害の場合はエストロゲンの代用品として、もしくはエストロゲンをサポートする形で働くことで更年期障害の改善が望めます。
またPMS(月経前症候群)は生理前のエストロゲン減少・プロゲステロン増加を原因とする説が一般的ですが、エストロゲン過多の場合もあるとする説などもあります。
レディースマントルに含まれているアネトールやスクラレオールはホルモンバランスを整える働きがあると考えられることから、どちらの場合にせよPMSの緩和にも効果が期待出来ます。ラズベリーリーフやチェストツリーなどとのブレンドにもよく用いられています。
効果③:むくみの緩和に
レディースマントルには利尿作用があります。加えてトランスアネトールやスクラレオールなどエストロゲン様作用を持つ成分を含んでいるため、特に生理前などプロゲステロンの働きでむくんでしまっている時に、むくみの緩和に高い効果が期待できるでしょう。
その他の効果・作用
・下痢・お腹の不調に
レディースマントルのお茶は収れん作用のあるタンニンを含むため、下痢や胃腸炎の改善にも有効とされています。
・口内のケアに
消炎・抗炎症作用があることからレディースマントルは喉の痛みやイガイガなどの不快感緩和にも有効とされ、ドロップなどにも配合されているようです。そのほか口内炎、歯肉の出血などのケアにも役立ちます。濃い目に煮出したハーブティーをうがい薬がわりに利用するとより効果的です。
・老化防止・美肌
レディースマントルにはタンニンやケルセチンなどのポリフェノールが含まれており、抗酸化作用による老化防止効果や、活性酸素から血液・血管を守り動脈硬化などの生活習慣病予防にも有効と考えられます。
またタンニンには収れん作用による肌の引き締めやメラニン色素生成抑制効果が報告されています。エストロゲン様作用によってホルモンバランスが整うことから肌の状態の改善にも役立ち「女性の美と若さを保つハーブ」という言葉通り、美容面にも効果が期待出来ます。
レディースマントルの副作用や注意事項、禁忌など
妊娠中・授乳中の使用に関して重大な問題は確認されていませんが、安全に使用できるという十分なデータがないので妊娠中の方は利用を避けましょう。
心臓・肝臓・腎臓に疾患のある方、胃潰瘍の方は医師に相談してください。
レディースマントルのハーブとしての使い方
実際にレディースマントルをハーブとして摂取する方法について解説します。食す以外にもレディースマントルの効能を活かす方法があるので、ぜひ参考にしてみてください。
ハーブティー(摂取方法1)
やや干し草のような青っぽい香りがあり、爽やかで飲みやすいレディースマントルティーですが、レディースマントルティーを美味しく飲むための方法について解説します。
温めたティーポットにティースプーン1杯のレディースマントルティーを入れる。熱湯を注ぎ5分~7分程蒸らせば完成です。
比較的飲みやすいハーブティーですが、飲みにくい際はハチミツやレモン、ミルクを加えることをオススメします。
レディースマントルティーと一緒に食べるお菓子はビタミンB6とマグネシウムが豊富に含まれている「ピーナッツバター」がオススメです。
ハーバルバス(摂取方法2)
日本では五月節句の菖蒲湯や冬至の日に沸かすゆず湯などが昔から言い伝えられています。香りを浴びることで人間の心と身体が癒されていくという方法ですが、ハーバルバスとはハーブの香りと効能を全身で浴びる入浴法です。
ハーブを使ったお風呂にゆったり入ることで、リラックスしてストレスが癒されます。血行が良くなることで、心と体の疲れもとれ、夜は眠りやすくなります。
ハーブチンキ(摂取方法3)
ハーブチンキとは、ハーブをアルコールに漬けてつくる濃縮液のことです。アルコールに漬けることでハーブの成分が溶け出しやすくなり、効能を引き出しやすくなります。
簡単にご家庭で作る事ができ、化粧水やうがい薬、マウスウォッシュ、入浴剤など様々な用途に活用できます。ハーブティンクチャーとも呼ばれ、西洋では万能薬として古くから親しまれてきました。
レディースマントルのよくある質問
主な効能として、月経不順、生理痛の緩和、更年期障害の症状緩和などがあります。また、胃腸炎や下痢などにも作用します。味に特徴がないので、他のハーブとのブレンドがお勧めです。
レディースマントル Alchemilla vulgaris(別名 アルケミラモリス)ヨーロッパのガーデンの写真には必ずといって良いほど登場するハーブで、全草を薬草として使用し、特に女性のためのハーブとして名高いようです。
レディースマントルは、単体で美味しく召し上がっていただけます。ティーカップ(約180ml)に対してレディースマントルをスプーン1杯~1.5杯が目安です。
主な効能として、月経不順、生理痛の緩和、更年期障害の症状緩和などがあります。また、胃腸炎や下痢などにも作用します。味に特徴がないので、他のハーブとのブレンドがお勧めです。
まとめと研究情報
女性の病気に効き目があるとされ、月経不順を治し更年期の症状を和らげる女性のハーブとも言われます。ハーブティー、ハーブチンキなど楽しみ方もいろいろありますので、活用してください。
【効果】
- ホルモンバランスを整える
- 月経不順や更年期障害などの症状の軽減
- PMSの症状の軽減
- 消化器系のサポート
- デトックス
- むくみの解消
【注意点・副作用・禁忌】
- 妊娠中・授乳中の使用中止
- 心臓・肝臓・腎臓に疾患者、医師に相談する
【摂り方】
- ハーブティー
- ハーバルバス
- ハーブチンキ
- 手作り化粧品
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
Alchemilla vulgarisにおける中央バルカンからの(女性のマントル):抗酸化、抗癌および酵素阻害特性
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35542286/
この研究では、セルビア南東部のAlchemilla vulgarisからのメタノール、エタノール、酢酸エチル、および水抽出物の植物化学的プロファイルと生物学的特性が評価されました。酢酸エチル抽出物は、没食子酸、コーヒー酸、キャッチン、ケルセチンなどの26種のフェノール化合物を最も多く含み、抗酸化、抗癌、および酵素阻害活性が最も高かった。この研究は、Alchemilla vulgarisが有望な医薬品としての潜在能力を示す初の証拠を提供しました。南セルビアのAlchemilla vulgarisが多くの疾患の治療や緩和に貢献できる可能性があることが示唆されました。
Alchemilla vulgarisの伝統的な使用を超えて:インビトロでの遺伝子保護および抗腫瘍活性
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36500205/
本研究では、ヨーロッパやバルカン諸国で伝統的に使用されてきたAlchemilla vulgaris L.(女性のマントル)のエタノール抽出物に焦点を当て、その生物学的活性を評価しました。45の化合物が同定され、抽出物は抗酸化能力を示し、染色体異常への保護効果も示されました。さらに、異なるがん細胞株に対して抗腫瘍効果を示し、これは細胞分裂、アポトーシス、およびオートファジー細胞死の調節によって達成されました。この研究は、Alchemilla vulgarisが細胞内の保護作用を提供し、腫瘍形成を防ぎ、腫瘍細胞の成長を制御する可能性を示唆しています。
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