アーティチョークという西洋野菜の名前を聞いたことがありますでしょうか?
チョウセンアザミという和名を持つこの植物、日本ではまだあまり知られていませんが、ホクホクした食感と、ほんのりした甘みが、病みつきになると言われています。
この記事では、アーティチョークの基本情報からその効能・副作用、さらには育て方や調理方法、そしてハーブティーとしての味わい方について、皆さまにわかりやすく説明します。
アーティチョークの基本情報
名称 | アーティチョーク |
英名 | Artichoke,Globe artichoke |
学名 | Cynara scolymus |
和名 | 朝鮮薊(チョウセンアザミ) |
分類 | キク科チョウセンナザミ属チョウセンアザミ |
原産地 | 地中海沿岸から中央アジア |
主要成分 (100g当たり) | 53kcal 炭水化物10.51g 糖類0.99g 食物繊維5.4g 脂肪0.34g タンパク質2.89g 葉酸76μグラム(キャベツや白菜の約1.5倍) カリウム380mg(トマトの約2倍) |
使用部位 | 若いつぼみ |
代表的効能 | ・含まれるポリフェノールによる、アンチエイジング効果 ・食物繊維による、整腸効果 ・水溶性食物繊維による、血糖値上昇抑制効果 |
利用法 | ・サラダにしたり、パスタやグラタンに入れたりして食べる ・ハーブティーとして飲む |
アーティチョークの効果・効能・成分を解説
アーティチョークには、健康に役立つ成分が多く含まれています。この記事では、その中でも「シナリン」などに多く含まれるポリフェノール、「クロロゲン酸」、そして「イヌリン」などの水溶性食物繊維、主に3つの成分が持つ効能について解説します。
1 シナリンなどに含まれるポリフェノールの効果
1点目として、「シナリン」や「アントシアニン」「ケルセチン」「ルチン」などのアンティチョークにも含まれるポリフェノールには、抗酸化作用が期待されています。
抗酸化作用とは、細胞を錆びさせる活性酸素の発生や活動を抑制する機能のことで、ポリフェノールを摂取することにより、抗ガン作用やアンチエイジング効果が期待できます。
さらに、シナリンには、胆汁の分泌を促進して消火を助けたり、コレステロールを下げる効果があると言われています。
2 クロロゲン酸の持つ効能とは?
2点目として、クロロゲン酸の効能について説明します。
クロロゲン酸は、コーヒーなどにも含まれる物資です。クロロゲン酸にも、シナリンなどと同じくポリフェノールが多く含まれ、抗酸化作用が期待出来ます。
さらにクロロゲン酸には、血糖値の上昇を抑えがあります。食事などで身体の中に入った炭水化物や糖分は、体中で糖質分解酵素により細かく分解され、血流に乗って全身の細胞に届けられます。
血液中にどのくらい糖質が含まれているかを表すのが血糖値です。
クロロゲン酸には、糖質分解酵素の働きを阻害し、血糖値の上昇を抑制する効果があると言われています。このため、クロロゲン酸には、血糖値上昇が引き金となる、糖尿病などの生活習慣病に対する抑制効果が期待されています。
3 水溶性食物繊維の持つ働き
イヌリンなどの水溶性食物繊維には、主に腸を整える効果があります。
まず、腸に到達するまでに水分を吸収して膨らみ、便通を促します。そして、腸の中で発酵し、腸内の善玉菌が活動しやすい環境をつくります。
そして、余分な糖分や脂肪分を吸着し、身体の外に排出します。以上の働きにより、水溶性食物繊維は腸、身体に健康的な影響を与えます。
アーティチョークの副作用や注意事項、禁忌など
アーティチョークは、一般的な量を食用として摂取する限りでは、妊娠・授乳に悪影響を及ぼしません。
しかしながら、胆汁の分泌を促進する影響で、胆石がある人は避けた方がいいと言われています。また、アーティチョークに含まれるカリウムが腎臓に負担をかけるため、腎臓に負担がある人は避けた方がいいでしょう。
さらに、キク科の植物に含まれる「セスキテルペンラクトン」「シナロピクリン」には、鼻炎や気管支炎、蕁麻疹などのアレルギー反応があることが報告されているため、キク科の食物にアレルギーのある人は食べるのを控えた方が良さそうです。
また、アーティチョークはインドやベトナムで「二日酔いに効く」と言われてきました。
アーティチョークの歴史・起源・由来
アーティチョークは地中海地方原産の多年草です。
元々は野生のアザミでしたが、ギリシャ・ローマ時代から品種改良がなされた結果、今の姿になりました。
本格的に栽培が開始されたのは、15世紀のイタリアからです。その後徐々にヨーロッパ全体に伝わりました。特に、16世紀にフランスに伝わった原因として、フィレンツェのメディチ家からフランス王家に輿入れしたカトリーヌ・メディシスが、当時媚薬とされていたアーティチョークを、結婚初夜に食べ過ぎた逸話が伝わっています。
日本には、江戸時代にオランダから渡来しましたが、それほどポピュラーな食物にはなりませんでした。
アーティチョークの概要、花や育て方など
1 アーティチョークの大きさ
アーティチョークは高さ1.5~2m、葉の大きさは50~80cm、つぼみの大きさは8~15cmです。花の大きさは直径15~20cmと大きく、花びらは細かく、アザミの花のような見た目をしています。花の色は、青味がかった紫色です。
2 アーティチョークの栽培方法
アーティチョークの植え付け時期について、夏と冬は避け、春か秋の、暑すぎず寒すぎない時期を選びましょう。
アーティチョークは多年草で大きくなるため、複数植え付ける場合は60cm以上間隔を取ってください。鉢やプランターで育てるときは、必ず10号以上を選びましょう。
土については、酸性土壌を嫌うため、植付前に苦土石灰をすき込んでから、腐葉土を混ぜ込みましょう。市販の野菜用培養土でも代用できます。
アーティチョークは多湿を嫌うため、表土が乾燥し、白っぽくなってから、水やりをしましょう。また、肥料を与える必要はありません。
アーティチョークのつぼみは、春、気温が上がり始める頃に大きくなってきます。5~6月頃、つぼみの大きさが10~15cmとなり、開花直前となった頃に収穫します。
アーティチョークのレシピ、食べ方やティーの入れかた飲み方など
1 アーティチョークを食べるとき
まず、まるごと茹でるか蒸しましょう。
アーティチョークを丸洗いし、トゲが残るガクの先端をハサミで切り落とし、20~40分ほど茹でるか蒸して柔らかくします。
柔らかさの目安として、串がすっと刺すことを目安として下さい。茹でるときは、レモン、またはお酢と塩を加えると、えぐみが取れます。
柔らかくなったら、ガクを1枚1枚はがしていきます。ガクをすべて剥がした後、縦にカットします。ワタ(花びらの部分)はすべて取り除きます。そして、ホクホクの食感が味わえる、芯の部分を切り取りましょう。
切り取った箇所は変色しやすいため、お酢かレモン汁を付けておきます。そして、ガクの付け根の肉厚な部分を、マヨネーズやオイル系のソースを付けて、歯でこそぎ取るようにして食べるとおいしいです。
また、フードプロセッサーに入れて混ぜてディップソースにしたり、ピザの具材にするのもおすすめです。
2 アーティチョークティーを淹れるとき
よく洗った食用のアーティチョークの蕾を、まるごと鍋で水から煮て、弱火で1時間沸騰させた後、4~6時間浸したままにしておきます。
その後、アーティチョークを除けば完成です。アイスでもホットでも楽しめますし、蜂蜜・レモン・ローズマリーを入れても美味しいです。