皆さまは、カレーの黄色い色がどこから来ているのかご存知でしょうか。英名でターメリックと言われるウコンは、カレーの黄色い色の元になっているスパイスとして用いられているのです。
ウコンは東南アジアを中心に分布している多年草植物で、沖縄では古来から、身体の調子が出ないときや疲れているときに飲まれて来ました。現在、欧米ではウコンの心疾患や能疾患などに対する効果、そして抗ガン作用も注目されています。
この記事では、ウコンの基本情報からその効能、育て方や味わい方までをご紹介します。
ウコンの基本情報
名称 | ウコン(秋ウコン) |
英名 | turmeric |
学名 | Curcuma longa Linne |
和名 | ウコン(鬱金、欝金、宇金、玉金) |
分類 | ショウガ科ウコン属ウコン |
原産地 | インド、南アジア |
主要成分 | クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、フラボノイド |
使用部位 | 根、茎 |
代表的効能 | 抗酸化作用、抗炎症作用、肝保護作用、消化不良改善、間接リウマチ改善、美肌効果 |
利用法 | ハーブティー(ウコン茶)として サプリメントとして スパイスとして その他着色料、染料として |
ウコンの効果・効能・成分を解説
カレーの黄色い色でおなじみのウコン、実は私たちの身体に良い様々な効能を持ち合わせているんです。
この記事では、主にその中でも黄色の色素成分であるクルクミン (curcumine)の持つ、二日酔い防止効果、認知症予防効果、抗ガン効果の3点について解説します。
1点目として、二日酔い防止効果についてです。クルクミンには、肝臓からの胆汁の分泌を促進させ、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を促進させる働きがあると言われています。
また、肝臓を保護し、肝障害や肝硬変を抑制する働きがあるとも言われています。沖縄では、ウコンは古くから二日酔い防止の薬として、民間療法の中で用いられてきました。
2点目として、認知症予防効果についてです。クルクミンは、適量摂取することで、アルツハイマー病の原因となる、アミロイドβというタンパク質が、脳に沈着することを抑える働きがあると言われています。
また、クルクミンの持つ優れた抗酸化作用は細胞の老化を抑え、それも認知症の予防に繋がります。事実、ウコンを豊富に摂取するインドでは、アルツハイマー病の患者数がアメリカの約4分の1となっています。
3点目として、抗ガン作用についてです。クルクミンはその抗酸化効果により、ガンの原因となる活性酸素の働きを抑える効果があると考えられています。
オレゴン州立大学ライナスポーリング研究所のWebサイトによると、クルクミンは、大腸がん、胃がん、口腔がん、肝臓がんについて抑制作用があるとの動物実験結果が出ています。近年では、クルクミンを利用した、副作用がない抗ガン剤が研究されています。
以上3点の効果の他にも、ウコンには、その精油成分による抗菌・抗虫効果があり、それゆえ、ウコン染めの布が産着や風呂敷として用いられてきました。
また、近年では美肌効果にも注目が集まっており、ウコンの持つ様々な効能は、これから今以上に注目を集めて行くことでしょう。
ウコンの副作用や注意事項、禁忌など
ウコンにはミネラル分が多く含まれています。非アルコール性脂肪性肝炎やC型肝炎の方は、ウコンを摂取するとミネラル分の内、鉄分が身体の中に蓄積され、症状が悪化する可能性がありますので、摂取は控えましょう。
また、ウコンには胆嚢を刺激する作用があるため、胆石の方は摂取を控えましょう。基礎疾患のない方は、通常摂取量であれば問題はありませんが、過剰摂取した場合肝臓の働きが過剰になり、それが肝臓の機能低下の原因となるため、過剰な摂取は控えましょう。
ウコンに含まれる精油成分には子宮を収縮させる働きがあるため、妊娠中の方は摂取を控えましょう。
その他、ウコンを摂取すると、まれに皮膚がかゆくなる等のアレルギー症状が出る場合があります。
ウコンの歴史・起源・由来
ウコンの歴史は古く、5,000年前に起源を発するインドの伝統医学 「アユールヴェーダ」には、既にその名が記載されています。
人間による栽培が始まったのは、おそらく古代メソポタミア文明における、ソロモン王時代(紀元前970~931年)ごろからであろうとされています。
その後、ウコンの栽培方法は、メソポタミアを経てパレスチナ方面へと伝わりました。すでに紀元前700~600年代には、ターメリックが着色用のスパイスとして用いられていることが記録されています。
古代ローマにも、ウコンはギリシャ経由で紀元前1世紀ごろ伝えられました。フランスでは、ターメリックがサフランに代わる安価なスパイスとしてスパイスとして用いられました。アジアでは調味料、着色料、医薬として今日まで用いられています。
ウコンは日本にも古くから伝わり、平安時代に編纂された「本草和名」でも、「鬱金」の記載を見ることができます。しかしながら、本格的に栽培が開始されたのは、室町時代の沖縄においてだと考えられています。
ウコンは当時大変貴重な植物で、琉球王府の重要な財源とされていました。今でも沖縄ではとても嗜まれており、ウコンの輸入量が一番多い都道府県は沖縄県です。
ウコンの概要、花や育て方など
ウコンは乾燥と寒さに弱く、東北地方北部地域以北では育たないと言われています。逆に、それ以外の日本の幅広い地域で育てることが出来ます。
ウコンの植え付けに適した季節は3月下旬~5月上旬頃です。ショウガのような形の「種ウコン」を、新芽が3~4個付くよう切り分けた上で、それぞれの株の感覚を30~40cm空け、深さ5~7cmに植えて土をかぶせます。
水はたっぷりとやると共に、植え付けから2カ月ほどしたら追肥をし、それから2カ月したら、また追肥しましょう。ウコンは水はけの悪い土では育たないので、腐葉土などを混ぜたふかふかの土を使いましょう。
10月半ば~11月になり、葉が枯れ始めたら収穫の時期です。霜が降りる前に収穫しましょう。収穫した根茎は、泥を洗い落した後、薄く包丁で輪切りにして2~3日干してから薄くスライスし、乾燥後ミキサーなどで粉砕した後、粉末にしてから保存します。
ウコンのレシピ、食べ方やティーの入れかた飲み方など
ウコンのハーブティーを作るには、まず急須またはポットに、ターメリックパウダー小さじ半分を入れ、400mlのお湯を注ぎ、2分間蒸らします。
ターメリックが底に沈んだ後、ターメリックが入らないようにそっとカップに注げば出来上がりです。
また、ウコンの風味に癖を感じる方は、ジンジャーやミルクをブレンドすると、美味しく召し上がれるでしょう。
また、食用として、ウコンは、古来からたくあんの着色に使われるなど、色々な食材に用いられてきました。定番のカレーや、クッキーなど、様々な料理のアクセントとしてお楽しみ頂けます。